簡易宿所

営業とは

簡易宿所については、法律上は「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設」とされます。
以下の「旅館業の種別」で定義されています。
客室を個室と多数人室の床面積を比較して、個室の床面積の方が多ければ旅館・ホテル、多数人室の方が多ければ簡易宿所になります。そのため、簡易宿所は相部屋が基本となります。
簡易宿所営業は、ゲストハウス、民宿、カプセルホテル、ペンションなどが該当します。
2018年の旅館業法等による改正で実際には「旅館・ホテル営業」と「簡易宿所営業」では施設の構造に差がある程度で、客室数などの規模の差はなくなりました。
以前は、「旅館営業」と「ホテル営業」は別々でしたが、法改正により「旅館・ホテル営業」となり一つにまとまりました。
旅館業の大きいなメリットとして客室数の制限がなくなったことです。
これにより、マンションの1室でも旅館業の許可が取りやすくなったため民泊ではなく、旅館業での営業での可能になりました。

旅館業の種別

旅館業の種別には「旅館・ホテル営業」、「簡易宿所営業」及び「下宿営業」の3種があります。

  • 旅館・ホテル営業
    施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のもの
  • 簡易宿所営業
    宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業(ペンション、ユースホステルなど)
  • 下宿営業
    施設を設け、1月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業

簡易宿所営業
簡易宿所営業とは、ペンション、民宿、ゲストハウス、カプセルホテルなど宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設をいいます。2016年4月に、改正旅館業法施行令があり「簡易宿所営業」の構造設備基準が緩和されました。
簡易宿所の場合は大勢で使うということが基本となっているため、客室の延べ床面積をほかのものよりも大きくとる必要があるのが特徴です。
簡易宿所の場合は、10人以上の宿泊ならば33㎡以上の客室面積を確保する必要があります。ただし、簡易宿所でも5人までしか泊めないということであれば、3.3㎡×人数分(この場合は3.3㎡×5=16.5㎡)以上ならばよいとされています。
また、旅館営業では、これまで玄関フロントの設置義務や常駐義務がありましたが、23区においては、多くの区でフロントの設置は義務ではなくなりました。※区の条例によって異なるケースもあります。

客室数規制なし
客室床面積延床面積33㎡以上
宿泊者を10人未満とする場合は3.3㎡に宿泊者の数を掛けた面積
寝台について階層式寝台を有する場合には、上段と下段の間隔は、おおむね1m以上であること
玄関帳場   条例で異なります
入浴設備適当な規模の入浴設備を有すること
便所設備適当な数の便所を有すること
換気等適当な換気、採光、照明、排水を有すること
その他都道府県が条例で定める基準に適合すること

旅館業法では、原則上記のように定められていますが、保健所ごとに異なりますので簡易宿所の手引きを確認します。

東京都建築安全条例

東京都では「東京都建築安全条例」という建築基準法をさらに厳しくした条例があります。その中に「窓先空地」という決まりがあり、火事が起きた時に安全に逃げられるように共同住宅などに定められています。そしてこれは簡易宿所も対象になります。具体的には、道路に面していない客室のある外壁と敷地との間に最低1.5mの避難通路を確保しなければならないというものです。
敷地と外壁の間が50cmしかない客室では、道路に面した部屋以外は客室にできないということです。ただ、この窓先空地は簡易宿所営業は対象になりますが旅館・ホテル営業は対象になりません。
そのため、これから旅館・ホテル営業を始める際は旅館・ホテル業での許可を取得するのがベストということになります。

簡易宿所営業のポイント

宿泊者が10人未満の場合は1人当たり3.3㎡以上の床面積

客室の数の制限なし

原則、フロントの設置義務なし※条例によって定めがあります。

その他の基準

簡易宿所営業許可を受けるためには、以下のその他の基準をすべてクリアする必要があります。

消防署の基準

簡易宿所を営むには消防法令に適合していることを証する書面を添付する必要があります。旅館・ホテル営業や簡易宿所ではこの「防火対象物」は、消防法施行令において用途による区分が設けられています。簡易宿所は、5項イに該当しますが、同一の建物に他の用途部分がある場合には「複合用途防火対象物」となり全体として16項イになります。

簡易宿所を営むには、消防署への相談も同時に行っていきます。マンションなどの集合住宅は消防設備が備わっていて、管轄消防署への「防火対象物使用開始届届出」もされているのが通常です。ただし、住宅を改築して店舗に転用した物件などは届出がない場合もあります。

消防署では旅館業を開業するにあたって物件を消防法という観点からチェックされます。200㎡以下の物件の場合は基本的には消火器、自動火災報知設備、誘導灯の設置で許可が出ると思いますが、マンションの一室やアパートの一室、またはアパート全体などで許可を申請する時はその他にもいろいろとクリアすべき条件が増えてきます。
200㎡以下の物件の場合は基本的には自動火災報知設備については、特定小規模自動火災報知設備でよいとされています。

建築指導課の基準

区役所での建築指導課への相談については下記の通りです。
用途変更をする際は、必ず建築士にご相談ください。

簡易宿所営業の床面積が200㎡を超える場合は確認申請が必要です。確認申請を行う予定の指定確認検査機関等にご相談ください。
200㎡以下の物件の場合は建築確認は不要ですが、建築基準法等に適合させることが必要とされています。

人的な基準

簡易宿所を営むことができるのは、次のいずれにも該当しない者に限られます。(欠格事由)

心身の故障により旅館業を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくはこの法律に基づく処分に違反して罰金以下の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
許可を取り消され、取消しの日から起算して3年を経過していない者
暴力団対策法に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から起算して5年を経過しない者

場所的基準


都道府県知事が定めた施設の敷地の周囲おおむね100mの区域内の施設について許可を与える場合には、あらかじめ、その施設の設置によって上記施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがないかどうかについて、上記施設の学長等の意見を求めなければならないものとされています。

営業者の責務については

  • 宿泊者が遵守すべき下記事項を、施設に掲示する等宿泊者に周知すること
    • 宿泊者が大声又は騒音を発すること及び周辺住民に迷惑をかける行為の防止に関すること
    • 適正な廃棄物の処理の方法に関すること
    • 防火に関すること
    • 火災等の緊急に対処すべき事態が発生した場合におけるその対処に関すること
    • 衛生管理に関すること
  • 施設若しくはその周辺の地域において、他人に迷惑をかける行為又は行うおそれのある宿泊者が生じないようにすること
  • 迷惑行為を中止又は行わないよう求めること
  • 宿泊利用に関する苦情窓口を設置し適切に対応すること

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まとめ

2018年6月の改正旅館業法の改正によって、旅館業法施行令も「ホテル営業」・「旅館営業」に代わって、「旅館・ホテル営業」の構造設備の基準を定めることになったため、

通常の旅館業も以下のように変更になりました。

最低客室数の廃止

 ホテル営業は最低10室、旅館営業は最低5室の基準の廃止

構造設備の基準

 出入り口、窓への施錠が可能なこと、客室とたの客室等の境が壁造りであることの廃止

1客室の最低床面積

 ホテル営業は最低9㎡以上の緩和

玄関帳場の基準の緩和

多くの区でフロント(玄関帳場)等に代替えする機能を有する設備として、ビデオカメラによる顔認証による本人確認機能等のICT設備が認められることとなりました。

トイレ設備の基準

業務手数料


旅館業の申請手続きには事前に消防署への申請手続きなど、時間がかかりますので、早めの事前相談をお願いします。
※ 案件の内容や規模に応じて金額が変わりますので、打ち合わせした後にお見積りを致します。
※ 保健所:旅館業許可手数料 22.000円~ 簡易宿所許可 11.000円~

  サポート内容報酬額(税込)
簡易宿所許可(ゲストハウス、民宿)
簡易宿所営業許可申請書類・標識、案内図の作成 
140.000円~     
旅館・ホテル営業許可
旅館業営業許可申請書類・標識、案内図の作成          
150.000円
測量・下記の図面作成など
※標識、建物配置図・平面図・客室求積図、
 正面図・側面図・空調設備図、給排水設備図など 
70.000円
消防関係の図面や書類の届出
※消防用設備等設置届出などの書類作成 
40.000円~    

サービス内容 

  • 保健所・消防署の担当窓口との事前相談
  • 旅館業法の関連書類の作成
  • 施設でのレーザー距離計による測量
  • 施設の平面図などCADによる作成
    ※周辺図、平面図、面積求積図、求積表、正面図、側面図、照明設備系統図、給排水系統図、換気設備図など
  • 申請書類の提出代行
  • 保健所の検査立ち合い
  • 許可書の受領代行

お問い合わせ

ご依頼及び業務内容へのご質問などお気軽にお問い合わせください

永井行政書士事務所

旅館業法営業に関する参考ホームページ

  【参照サイト】厚生労働省「旅館業法概要」

  【参照サイト】厚生労働省「簡易宿所について」

  【参照サイト】民泊サービスを始める皆様へ ~簡易宿所営業の許可取得の手引き~

  【参照サイト】民泊サービスと旅館業法に関するQ&A

保健所           所在地                    電話番号         
千代田区:千代田保健所
生活衛生課環境衛生係  
         
千代田区九段南1-6‐17
千代田会館8階
03-5211-8168
中央区:中央区保健所
生活衛生課
中央区明石町12‐103-3541-5936
港区:みなと保健所
生活衛生課住宅宿泊事業担当 
               
港区三田1‐4‐1003-6400-0088
新宿区:新宿区保健所
衛生課環境衛生係
新宿区新宿5-18-21
新宿区役所第二分庁舎
03-5273-3870
文京区:文京保健所
アカデミー推進課観光担当
                  
文京区春日1‐16‐2103-5803-1174
台東区:台東保健所
生活衛生課住宅宿泊事業担当
台東区東上野4‐22‐803-3847-9403
墨田区:墨田区保健所
生活衛生課生活環境係
墨田区吾妻橋1‐23‐2003-5608-6939
江東区:江東区保健所
生活衛生課環境衛生係
江東区東陽2-1‐103-3647-5862
品川区:品川区保健所
生活衛生課 環境衛生担当
品川区広町2‐1-3603-5742-9138
目黒区:目黒区保健所
健康推進部生活衛生課
目黒区上目黒2‐19‐1503-5722-9502
大田区:大田区保健所
健康政策部生活衛生課
大田区大森西1‐12‐1
大森地域庁舎
03-5764-0693
世田谷区:世田谷保健所
生活保健課環境衛生施設係
世田谷区世田谷4‐22‐3503-5432-2904
渋谷区:渋谷区保健所
生活衛生課内コールセンター
渋谷区宇田川町1‐103-3463-1211
中野区:中野区保健所
環境部 生活環境分野
中野区中野2‐17‐403-3382-6663
杉並区:杉並保健所
生活衛生課
 
杉並区荻窪5‐20‐103-3391-1991
豊島区:池袋保健所
保健福祉部生活衛生課
 
豊島区東池袋4‐42-16
池袋保健所 2 階
03-3987-4175            
北区:北区保健所
生活衛生課 (環境衛生)
北区東十条2-7-303-3919-0720
荒川区:荒川区保健所
生活衛生課環境衛生係
荒川区荒川2‐11-103-3802-3111
内線426
板橋区:板橋区保健所
生活衛生課
板橋区大山東町32-1503-3579-2335
練馬区:練馬区保健所
生活衛生課環境衛生監視担当係
練馬区豊玉北6‐12‐103-5984-2485
足立区:足立保健所
生活衛生課
 
足立区中央本町1‐5‐303-3880-5374
葛飾区:葛飾区保健所
生活衛生課
葛飾区青戸4‐15-1403-3602-1242
江戸川区:江戸川保健所
生活衛生課環境衛生係
江戸川区東小岩3‐23‐303-3658-3177