旅館業での
建築基準法について
旅館業を開業するには、建築基準法で建物の用途、構造、設備及び関する基準を定めています。
これから、ホテルや旅館業を行うとする施設はこの法律の基準を満たしておく必要があります。
旅館業を開業するにあたり、建築基準法上の基準や手続上の注意点について解説します。
建築基準法の構造の規制が緩和されました
ホテル・旅館などの宿泊施設は、建物の階数が3階以上の場合、高い耐火建築物にする必要があり、面積が100㎡を超える場合、用途変更のための建築確認の手続きが必要とされていました。
しかし今回の改正で用途変更に必要だった確認申請が「100㎡を超える建物」から「200㎡を超える建物」に変更されます。
その後、2018年6月に改正法案が施行され、以下のように変更されました。
1.延べ面積200㎡未満かつ3階建て以下の住宅を特殊建築物である旅館・簡易宿所へと用途変更する場合、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とする。
2.用途変更する面積が200㎡以下の場合、建築確認申請手続きを不要とする。
住宅として新築された建物を旅館業として使用したい場合はこの手続きが必要になり、その手続きを「建築確認申請」といいます。
この「建築確認申請」をする場合は一級建築士事務所に依頼することになり、高額な費用が必要になります。
建築確認申請をするには建物を新築した時に国が指定した検査機関が法律を守って建てられているか検査したことを証明する「検査済証」が必要になります。
旅館業の用途変更の申請の流れ
用途変更には、建築基準法に基づいて建築確認の申請や完了届け等の手続きが必要になる場合があります。用途変更の申請の流れは以下の通りです。
□建築士事務所との打ち合わせ
□確認申請書や設計図書の作成と提出
□着工・竣工・完了検査
建築士事務所との打ち合わせでは用途変更の目的や要望、完成イメージや工事スケジュール等を相談します。建築士事務所は打ち合わせの内容に基づき確認申請書や設計図書を作成し、提出先は行政機関や検査機関です。提出書類が検査をパスすれば実際の工事に着手し、工事が完了したら完了工事届を行政機関に提出します。なお、特殊建築物として用途変更した場合は消防署や保健所の検査が必要です。
用途変更の手続きに必要な書類
建物の使用用途を旅館業に供するものに変更するには、建築基準法や旅館業法等の規制に適合するようにします。用途変更の手続きに必要な主な書類は以下の通りです。
- 新築時確認申請写し
- 竣工時検査済証写し
- 竣工後の用途変更申請、増築申請等写し
- 上記の申請時図面写し
- 各消防設備検査記録等
- 店舗計画図
- 求積図
- 仕上げ表
- 店舗内断面図
- 排煙計画図
- シックハウス換気計画図
耐火建築物等としなければならない特殊建築物とは
建築基準法で耐火建築物等としなければならない建物の用途を旅館等に変更した場合や変更部分の床面積が200㎡を超える場合は用途変更の建築確認申請が必要です。
建築基準法は用途地域ごとに建築できる建物とできない建物を定めて用途を制限しています。
住宅の建物を旅館に転用したいなどのときに問題になるのは、対象建物の用途の変更です。なお、用途地域などによって用途が制限されていると用途変更はできません。
次のような場合は用途変更に建築確認申請が必要です。
- 建物の用途を特殊建築物に変更
- 用途変更部分の床面積が200㎡超
旅館やホテル等の特殊建築物への用途変更には原則として建築確認の申請が必要ですが、不要となるケースもあります。
2019年6月25日から全面施行された改正建築基準法で、200㎡以下の特殊建築物(飲食店やホテル旅館、その他福祉施設)は、用途変更時に建築確認の手続きが不要となりました。
耐火構造改修の規制緩和
これまで3階建ての戸建住宅を旅館業にする場合、必要な箇所に非常用照明の設置等をするのに加えて壁や柱等を耐火構造とする改修工事が必要でした。
この改修工事はとても困難で多くの費用がかかるため、ほぼ金額的にもできないといった良い状況でした。しかし、今回の改正で3階建ての戸建住宅でも面積が200㎡未満であれば壁や柱等を耐火構造にする必要がなくなります。
旅館業の場合、各部屋に警報設備等の設置をし、これまで通り必要な箇所に非常用照明の設置などをすればOKになります。
耐火設備について
耐火性能のある耐火設備は建物の延焼の防止と人員の避難の確保のために設置されるもので、その種類は次の通りです。
- 耐火建築物(主要構造部が政令の技術的基準に適合)
- 準耐火建築物(主要構造部が一定の耐火性能を保有)
- 耐火構造
- 準耐火構造
- 防火設備
ホテルや旅館などの特殊建築物については、建築基準法別表第一により耐火建築物または準耐火建築物が必要とされます。特殊建築物というのは多くの人が利用する建物ですし、火災が起きたときは荷重が大きいからです。特殊建築物の耐火性の扱いについては次のようになっています。
- 3階以上のものは耐火建築物
- 客席が200㎡(屋外観覧席は1000㎡)以上のものは準耐火建築物
複合用途防火対象物
法令で定める2以上の用途に供される防火対象物のことで、いわゆる「雑居ビル」のことをいいます。
この雑居ビルに、1つでも映画館や飲食店などの特定用途に供する部分があれば、16項イの特定防火対象物となり、逆に、飲食店などがなければ16項ロの非特定防火対象物となるので、注意して下さい。
建築基準法による規制について
旅館業を開業するについて、3階以上の階を旅館の用途に供するもの(3階以上で延べ面積が200㎡未満の旅館)又は旅館の用途に供する2階部分の床面積の合計が300㎡以上のものは、その主要構造部の性能を、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの認定を受けたものとする必要があります。
ホテル・旅館などの宿泊施設は、建物の階数が3階以上の場合、高い耐火建築物にする必要があり、面積が100㎡を超える場合、用途変更のための建築確認の手続きが必要とされていました。
その後、平成30年4月に改正法案が施行され、以下のように変更されました。
1.延べ面積200㎡未満かつ3階建て以下の住宅を特殊建築物である旅館・簡易宿所へと用途変更する場合、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とする。
2.用途変更する面積が200㎡以下の場合、建築確認申請手続きを不要とする。
玄関帳場とは、旅館又はホテルの玄関に付設された、宿泊客と面接して帳簿等を記載する等のための設備をいいます。
※ただし、先述のように変更後の建物は建築基準法に適合している必要はあり、適合していない場合は改修工事が必要。
以上の点が変更され、従来よりも旅館業や民泊設置の規制が緩和されています。
3階建て以上の建物に必要になる竪穴区画
竪穴区画とは何かと言うと、階段と一部の廊下を併せた階段室と客室などのその他の部屋が分かれている状態のことです。
これはもし火事が起きて避難をすることになった時、煙が階段にまわらないようにして安全に避難ができるようにするために、3階建て以上の建物で旅館業を営業する場合に必要だと建築基準法で決められています。
この竪穴区画は普通の3階建ての住宅には原則必要ないと建築基準法で決められているため、設けられていないケースが多いです。
その場合新たに竪穴区画をする工事しなければならないのですが、特殊な壁や扉を新しく造らなければいけないのでネックになってしまいます。
旅館業許可業務手数料
旅館業での営業許可を取得するには、旅館業法や消防法・建設基準法などと関連するため、多くの書類図面の作成に加え、申請手続きの流れも複雑で保健所ごとの条例で異なる設備基準があります。
旅館業の申請手続きには事前に消防署への申請手続きなど、時間がかかりますので、早めの事前相談をお願いします。
※ 案件の内容や規模に応じて金額が変わりますので、打ち合わせした後にお見積りを致します。
※ 保健所:旅館業許可手数料 22.000円~
旅館業での営業許可を取得するには、旅館業法や消防法・建設基準法などと関連するため、多くの書類図面の作成に加え、申請手続きの流れも複雑で保健所ごとの条例で異なる設備基準があります。
旅館業の申請手続きには事前に消防署への申請手続きなど、時間がかかりますので、早めの事前相談をお願いします。
※ 案件の内容や規模に応じて金額が変わりますので、打ち合わせした後にお見積りを致します。
※ 保健所:旅館業許可手数料 22.000円~
サポート内容 | 報酬額(税込) |
旅館業営業(簡易宿所)許可 ※ 旅館業営業許可申請書類・標識、案内図の作成 | 140.000円~ |
旅館・ホテル営業許可 ※ 旅館業営業許可申請書類・標識、案内図の作成 | 160.000円~ |
測量・下記の図面作成など ※標識、建物配置図・平面図・客室求積図、 正面図・側面図・空調設備図、給排水設備図など | 90.000円~ |
消防関係の図面や書類の届出 ※消防用設備等設置届出などの書類作成 | 40.000円~ |
サービス内容
- 保健所・消防署の担当窓口との事前相談
- 旅館業法の関連書類の作成
- 施設でのレーザー距離計による測量
- 施設の平面図などCADによる作成
※周辺図、平面図、面積求積図、求積表、正面図、側面図、照明設備系統図、給排水系統図、換気設備図など - 申請書類の提出代行
- 保健所の検査立ち合い
- 許可書の受領代行
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